手術支援ロボットdaVinci®による膀胱全摘術

ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘出術

膀胱がんの治療は、進行病期によって異なります。

進行病期は治療法の観点から、筋層浸潤のない比較的早期がん、筋層浸潤を有する浸潤がん(浸潤性膀胱がん)、転移を有する転移性進行がんに大きく分けられます。

まず、病態によらず経尿道的膀胱腫瘍切除術が行われることが多いですが、筋層浸潤癌の場合は切除しきれないため、追加治療として膀胱全摘術が行われます。

膀胱全摘出術は従来開腹手術が主流でしたが、急速にロボット支援下手術に置き換わっております。ロボット支援下手術では明らかな出血量の減少、傷が小さく痛みが少ない、術後の回復が早いなどの利点を有しています。また、手術で必要とされる広範なリンパ節郭清も行うことが可能です。

当院でも2022年1月より、十分な経験を有する医師によってロボット支援膀胱全摘術を導入、開始しております。

リンパ節転移を有する進行がんであっても、遠隔転移(肝転移、肺転移、骨転移など)がない場合には、積極的に根治を目指すようにしています。

浸潤性膀胱がんでも膀胱を温存できる可能性があれば、抗がん剤、放射線、手術を組み合わせた膀胱温存療法も可能ですので、最適な治療方法を提案いたします(放射線治療については他院に紹介しています)

当院では手術支援ロボットのダヴィンチを使用したロボット支援下での膀胱全摘除を施行することで、低侵襲手術に努めていきたいと考えております。ただ、状況によっては開腹手術が望ましいこともありますので、担当医の判断をお伝えして、ご本人と相談の上で治療方法を決定しています。

全摘後の尿路変向法としては新膀胱造設もしくは回腸導管法となりますが、こちらもご本人と相談の上で決定しています。

 

当院で行うロボット支援膀胱全摘術の患者様の傷跡は下のようになっています。

患者様の同意を得て掲載(術後は順調に回復し、現在は仕事にも復帰されています。)

臍より上の6カ所の傷から助手の鉗子、およびロボットアームをお腹の中に入れて、骨盤内のリンパ節および膀胱を摘出します。

この症例では腹腔鏡下の腎尿管全摘術も同時に施行しておりますが、術後経過も順調でした。尿路変更術としては回腸導管を作成しています。

癌の根治率を上昇させるためには化学療法、および骨盤内の広範なリンパ節郭清が重要と考えられています。当院では根治率上昇のために化学療法はもちろんのこと、十分なリンパ節郭清を行うことを特に大切にしています。

回腸導管 右下腹部に回腸導管が作成されており、袋を張り付けています。
週に2-3回の頻度で交換していきます。

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