【鼠径ヘルニアとは】
足のつけ根の部分を鼠径部と言いますが、立ったときやお腹に力を入れた時にその部分がふくらんでしまう病気を鼠径ヘルニアといいます。加齢などによって鼠径部の筋肉が弱くなり、筋肉の隙間から腸や脂肪組織が皮下に出てくるのが原因です。自然に治ることはなく、治療には手術が必要です。

(鼠径ヘルニアのイメージ図)
【症状】
横になると引っ込むような柔らかいでっぱりを鼠径部に触ります。ほかに、ひきつるような痛み、つっぱり感、便秘などが起こることもあります。脱出した腸が戻らなくなることを嵌頓(かんとん)といい、その場合は緊急手術が必要になることがあります。
【検査】
CTでうつ伏せになり腹圧をかけて撮影することで、ヘルニアの詳細な状況がわかります。また、手術に耐えられるか判断するため、血液検査、心電図や心臓のエコー、呼吸機能などの検査も行います。
【治療法】
ヘルニアの治療は手術のみです。隙間の部分をメッシュという人工物で補強するのがこの手術の本質です。
【当院における治療の特徴】
・ダビンチ手術:手術支援ロボット(ダビンチ)を用いて手術を行います。傷は従来の腹腔鏡手術と変わりませんが、ロボット手術でより繊細な操作が可能となりました。入院期間は2〜4日程度です。メリットは、術後の痛みの改善、左右のヘルニアを一度に治せること、入院期間の短縮などがあります。2026年6月より保険診療で行います。

(手術ロボットであるダビンチのイメージです。術者が左のコンソールに座って、中央のロボットを操作して手術を行います。立体的な視野で精密な手術が可能です。)
・腹腔鏡下手術(TAPP法):状況によって従来の腹腔鏡下手術を選択することもあります。傷の位置・大きさや入院期間はダビンチとほぼ変わりません。

(腹腔鏡下手術のイメージ。弱い部分にメッシュをあてて補強します。)
・ハイブリッド手術:他院で行った再発症例などは、腹腔鏡でヘルニアの様子をよく観察して、必要に応じて鼠径部切開も併用して治療するハイブリッド手術を行うことがあります。これにより難症例であっても再発を防ぎ確実に治療することを目指しています。
・鼠径部切開法:心臓や肺などのリスクが高い場合や、前立腺術後の症例などは、鼠径部を5cmほど切開して、直接修復します。その場合もメッシュを用いることがほとんどです。

(鼠径部切開法のイメージ。こちらは穴の部分に傘のようなメッシュを入れて、さらに平らなメッシュを用いて弱い部分を補強します。)
【女性に多い鼠径ヘルニア】
・大腿ヘルニア:鼠径部ヘルニアの一種ですが、通常よりも下の方から腸管が脱出します。穴が狭いため嵌頓し、緊急手術になることが多いです。

(大腿ヘルニアのイメージ。大腿ヘルニアは多くが嵌頓して、緊急手術となります。)
・ヌック管水腫:若年〜中年の女性に起こる病気で、鼠径部に残った腹膜が袋状になり水が溜まってしまう状態です。CTなどの画像をよく検討して、適切な手術で水が溜まった袋を取り除きます。
手術を行ったあとは、個人差はありますが一週間後くらいから日常生活は問題なくできるようになります。腹圧がかかるような仕事は一ヶ月程度控えていただきます。
鼠径部ヘルニアでお悩みの方は、お早めの受診をおすすめいたします。それぞれの患者さんに最適な治療法をご提案させていただきます。
