乳腺外科
乳腺外来受診者数が増加しているため、独立した科としての専門診療提供が必要であるとの観点から乳腺外科が2015年春に設置されました。
精度の高い検診、精査を提供し、最新のガイドラインに準じた乳がん診療はもとより、広範囲の周辺疾患に対応いたします。乳房形成などの整容における選択肢が広がっており、形成外科との協働で実施いたします。
乳腺外来受診者数が増加しているため、独立した科としての専門診療提供が必要であるとの観点から乳腺外科が2015年春に設置されました。
精度の高い検診、精査を提供し、最新のガイドラインに準じた乳がん診療はもとより、広範囲の周辺疾患に対応いたします。乳房形成などの整容における選択肢が広がっており、形成外科との協働で実施いたします。
先進国を中心に「安心出来るがん医療」を目的として、診療の最適化、 均てん化のためのガイドラインが作成されており、診療に当たる専門医、認定医は、このガイドラインに沿った診療を行います。 当科では、米国NCCN、ヨーロッパSt.Gallen、日本乳癌学会のガイドラインに準じた診療を行っております。
現在の手術待ちは、2〜4週間、入院期間は数日程度です。
昨年度(2018/1/1~12/31)は、新規乳癌診断件数105件、総手術件数80件、乳癌手術件数69件であり、前年度とほぼ同程度でした。当院の特色として、検診後の受診が多く、精査施設として地域の基幹病院になっております。検診後、当院での精査で乳癌と診断され手術を施行した症例をまとめると、非浸潤癌の割合は30%にのぼり、浸潤癌の集計では、浸潤径の中間値は1.1cmであり、1cm以下の腫瘍が50%を超え、1.5cm以下は約75%でした。これらの数字はカナダやEUの厳しい基準をはじめ諸外国で設定されている目標値を大きく上回りクリアしておりますので(表1)、当院での早期診断の精度を期待していただける情報としてお示し致します。また不必要な生検も精度管理上慎むべきことが指摘されていますが、当院では生検症例中にがんが占める割合は、約8割であり侵襲のある生検も限定した症例に行われていることをご報告いたします。
表1 (検診後に診断された乳癌症例のまとめ)
検診・精査の管理項目 | 精度管理上の目標値 | 当院での値 |
全乳癌中の非浸潤癌の割合 | 10~20%(EU評価水準) | 30% |
浸潤径1cm以下の割合 | 25~30%以上(EU評価水準) | 50% |
浸潤径1.5cm以下の割合 | 50%以上(EU&Canada評価水準) | 75% |
StageⅡ以上の乳癌の割合 | 30%未満(EU評価水準) | 17% |
リンパ節転移陰性症例の割合 | 70%以上(EU&Canada評価基準) | 96% |
治療における動向; 縮小手術が定着した乳癌の外科診療において、腋窩郭清は9例(うち転移8例)と減少しています。一方、乳房の術式としては温存術施行率は約40%とやや減少し、代わりに全切除後のインプラントによる再建術が12例とほぼ倍増しました。今後もインプラントによる再建希望者は増加すると予想しますが、つい最近米国で報告された中長期の安全性情報が今後の浸透率に影響する可能性も考えられます。
近年薬物療法の進歩はこれまでにも増してめざましいものがあります。乳癌分野における新規に承認された薬剤は、近年precision medicineの提唱とともに注目されておりますが、当院ではこれらの注目すべき薬剤をいち早く採用し実臨床に使用しております。今後上市される新規機序の薬剤においても、またガイドラインの変更におきてもタイムラグなくアップデートし、常に最新の治療を行ってまいります。
精度の高い撮影をするために、乳房を引き伸ばしてなるべく平らに圧迫し、乳腺の重なりをできるだけ少なくして、左右の乳房を乳腺専用のレントゲン装置で撮影します。 このため個人差はありますが圧迫する際の痛みが伴うことがあります。マンモグラフィーには写らない乳がんもあることが知られており、 また乳腺濃度の高い方の場合には、乳腺の中に隠れたしこりが見えにくいという弱点があり、超音波検査などを併用することをお勧めする場合があります。
乳房の表面にゼリーをぬって、乳腺専用の超音波装置を乳房にあてて行う痛みのない検査で、放射線の被曝はありません。 また乳腺の発達した若年層の方や妊娠中の方の検査に適しています。
3Tの高性能MRI装置やマルチスライスCTスキャナーを使用してより詳細な評価、診断に役立てています。 デジタルマンモグラフィー撮影機も増設しする予定です。
良悪性を確認する必要がある病変に対しては、最終的に細胞や組織を採取して顕微鏡での検査を行うことは一般的です。 以下の検査が一般的で、1⇒3になるほど採取する検体の量が多くなり、精度も高くなりますが、穿刺する針が太くなり、費用も高くなります。担当医が、個々に適した検査を選択します。
1.細胞診
注射針を病変部に刺し吸引で採取された細胞を顕微鏡で見る。
2.針生検
3.吸引針組織生検
乳癌の治療として乳房を全摘した後の乳房形成術には、いくつかの選択肢があります。 人工物(シリコンバッグ)による再建もすでに保険診療で行えるようになっていますので、今では一般的な選択肢となりました。 興味のある方は是非主治医にご相談ください。
① 乳癌手術で乳房を全摘する際に、同時に生食バッグを大胸筋下に挿入します。 シリコンバッグに入れ替える時のために周囲組織に余裕を持たせることを目的として、数ヶ月かけて外来で生食を注入し徐々に大きくします。 十分なスペースがえられた後、シリコンバッグに入れ替える手術を行います。
上記①が最も一般的に行われていますが、この他にも同時再建、異時再建などいくつかの選択肢があります。 過去に全摘手術を受けた方も、再建が可能ですのでご相談ください。
左(向かって右)は乳頭温存皮下乳腺切除後にインプラントでの同時再建を行いました。
右も以前乳房温存術を受けています(他院)。
慶應義塾大学 S59卒
日本外科学会 日本乳癌学会
日本癌学会 日本乳癌検診学会
日本癌治療学会
日本外科学会専門医
日本乳癌学会専門医
JABTAS乳房超音波資格認定医
臨床研修指導医
山梨医科大学 S62卒
日本外科学会 日本乳癌学会
日本消化器外科学会 日本腹部救急医学会
日本臨床外科学会
日本外科学会認定医
日本消化器外科学会認定医
検診マンモグラフィー読影認定医
身体障害者福祉法指定医(膀胱又は直腸機能障害)
身体障害者福祉法指定医(小腸機能障害)
臨床研修指導医
回復期リハ病棟専従医師研修会修了
診療科の紹介