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1.センター設立の目的

柏厚生総合病院 脊椎内視鏡センターは、主に除圧術を対象に、次の2つを目的として設立しました。
1.この地域で、脊椎低侵襲手術(脊椎内視鏡手術)という選択肢を提供すること
2.他医療機関で「内視鏡では難しい」と言われた方も、画像をもとに可能性を改めて評価すること

当センターの基本方針
・高齢の方や合併症をお持ちの方にも配慮し、体への負担をできるだけ抑えた治療を検討します。
・治療方針は症状と画像検査を踏まえ、安全性を最優先して判断し、十分にご説明したうえでご提案します。
・「手術ありき」「内視鏡手術の可否」だけに偏らず、患者さん一人ひとりにとって最適な治療を一緒に考えます。
・痛みやしびれだけでなく、「歩ける時間」「生活の質(QOL)」の回復を治療のゴールとして大切にします。

※ご確認ください
・症状の改善には個人差があります。
・画像所見や全身状態により、固定術など別の治療が必要な場合があります(理由は診察でご説明します)。
・合併症はゼロではありませんが、起きた場合の対応体制も含め、事前に丁寧にご説明します。

これらの目的と考えを大切にしながら、日々の診療に取り組んでまいります。

2.脊椎内視鏡手術の実際

従来の脊椎の手術
従来の脊椎手術では、直視下あるいは顕微鏡下に
・背中をまっすぐ大きく切開
・筋組織を骨から左右に大きく剥離
・体から離れた位置での視点から
・骨(棘突起や椎弓)を広く削って神経を露出させ除圧を図る
という方法が用いられてきました(従来法 図1)。
術者の両手での自由度が高い作業が行える一方で、
・傷が大きい
・筋肉へのダメージが大きい
・術後の痛みが強く、回復に時間がかかる    といった負担が避けられませんでした。


脊椎内視鏡手術(MED/MEL)

当センターでは、脊椎の後方から行う除圧手術は、原則として内視鏡(MED/MEL)で行います。
(ただし、脊椎の不安定性が強い場合や大きな矯正が必要な場合など、病態によっては固定術など別の方法が適切なことがあります。手術方法は画像検査をもとに、安全性を最優先してご提案します。)

脊椎内視鏡手術では、手術の入り方が大きく異なります。
・皮膚の切開はおおよそ2cm前後
・筋肉は大きく切らず、筋肉のすき間を段階的に細い筒を順次差し込み「割って」進入
・14~16㎜の筒状の器具(管状レトラクター)を立て、その中に内視鏡を設置。(図2)

・体内に位置する内視鏡映像を大きなモニターで確実に神経を確認(図3)。
・筒内で専用の手術機器を両手で操作

・原因となっている骨や靭帯、椎間板ヘルニアをピンポイントで取り除き神経の圧迫を解除(図4)

参考 腰部脊柱管狭窄症に対するMEL 術後 CT画像(図5)。術前狭かった箇所が拡大(黄色矢印)

その結果として、
・体への負担が小さい
術後3時間前後からの離床・歩行開始を目指せる
・原則として術後コルセットを用いないで回復していける
・術後 数日~1週間で自宅退院(目安)、社会復帰へ  といったメリットが期待できます。

入院期間中の流れを図6で示します。
(具体的な入院日数・生活の目安は下記 Q&A の Q7〜Q11 をご覧ください)

3.どんな症状のときに相談すべきか

次のような症状でお困りの方は、一度ご相談ください。
・10〜15分ほど歩くと足がしびれて止まってしまう
・立っていると腰や足がつらく、前かがみになると少し楽になる
・坐骨神経痛のような、足の痛みやしびれが続いている
・夜間に痛みやしびれで目が覚めてしまう
・薬やブロック注射、リハビリを続けても、なかなか改善しない
・腕や手が使いにくい、片方の腕にしびれるような強い痛みがある。
これらの症状の背景には、
腰や首由来の可能性があり、神経の通り道が狭くなる病気が隠れていることがあります。

4.どのような病気が対象になるか

脊椎内視鏡手術(MED/MEL)は、
背骨の後ろ側から神経の通り道を広げる「除圧手術」が必要な病気に幅広く対応できます。
主な対象疾患の例
・腰椎;腰部脊柱管狭窄症 腰椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間孔狭窄(神経の出口が狭くなる病気)腰椎黄色靭帯骨化症、腰椎椎間関節嚢腫(関節の袋がふくらんで神経を圧迫する病気)など
・頚椎・胸椎;頚椎椎間板ヘルニア・頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症、胸椎椎間板ヘルニア、胸椎脊柱管狭窄症、胸椎黄色靭帯骨化症 など

一方で、
・背骨が大きくずれて不安定になっている「高度すべり症」
・背骨の曲がり(側弯など)を大きく矯正する必要がある場合
などでは、固定術がより適していることもあります。
その場合は、内視鏡手術だけにこだわらず、より安全で確実な方法をご提案します。

5.脊椎内視鏡手術の歴史と適応拡大

脊椎の手術は、神経の圧迫による症状改善を目的とした除圧術と、脊椎不安定性や配列の矯正を目的とした固定術に大別されます。脊椎内視鏡手術は主に除圧術を対象とします。
国内の脊椎内視鏡手術は約20年前、私の前職である和歌山県角谷整形外科病院で、内視鏡下ヘルニア摘出術から始まりました。以後、この手術は除圧術の一環として腰部脊柱管狭窄症をはじめ頚椎・胸椎疾患へと適応を広げ、近年では固定術にも内視鏡が用いられるようになってきました。

一方で、その普及が進む現在も、一人一人の患者さんが脊椎内視鏡手術を十分に受けられる状況には地域差が残っているのが現状です。

6.全国調査から見える現状と当センターの役割

全国調査の結果から、脊椎内視鏡手術の現状と、当センターが担いたい役割を整理します。

日本国内では、脊椎内視鏡手術を受ける患者さんはまだ多くありません。
2023年の日本脊椎脊髄病学会全国調査では、内視鏡手術はヘルニア手術の約26%、腰部脊柱管狭窄症手術では6.5%にとどまっています。さらに、頚椎・胸椎の内視鏡手術を行える施設は限られています。(出典:日本脊椎脊髄病学会データベース JSSR-DB 2023年次報告書)

 内視鏡手術は身体への負担を抑えられる一方、安全に行うためには専用の設備や体制に加え、術者の十分な経験が必要です。特に狭窄症や頚椎・胸椎では病態が多様で、適応判断や手技の条件がより厳しくなりやすいことも、実施施設が限られる理由の一つです。
このような背景から、地域・施設によっては「脊椎低侵襲手術(内視鏡手術)という選択肢」が多くの患者さんへ十分届きにくい状況が生まれています。

こうした現状をふまえ、当センターでは、患者さん一人ひとりの身体所見と画像診断をもとに、内視鏡手術が可能かどうかを丁寧に検討し、適切と判断した場合には、メリット・デメリットを含めてご説明のうえ、治療の選択肢の一つとして低侵襲手術(内視鏡手術)をご提案します。この柏市で、患者さんが納得して治療を選べるよう、低侵襲手術という選択肢を届けること—それが当センターの役割と考えています。

7.センター長のご紹介

脊椎内視鏡センター長 矢渡 健一(やわたり けんいち)
・日本整形外科学会 整形外科専門医・脊椎脊髄病医
・日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科専門医・指導医
・脊椎内視鏡下手術・技術認定医(第二種) 2026年4月時点:申請中
佐賀県出身。琉球大学を卒業後、2013年以降、前述の国内内視鏡手術発祥の地、和歌山県角谷整形外科病院はじめ、脊椎手術専門医療機関で、頚椎・胸椎・腰椎に対する脊椎内視鏡手術(MED/MEL)を数多く担当し一貫して脊椎外科を専門に研鑽を積んできました。
学生時代から長くラグビーに取り組み、現在もウェイトトレーニングを続けており、「自分の足でしっかり立ち、動けること」が生活の質にどれほど大きく関わるかを、身をもって感じてきました。
その経験を踏まえ、
患者さん一人ひとりが、できるだけ少ない負担で再び「自分の足で歩く」ことを目標に診療しています。

8.当センターがMED/MELを採用している理由

近年、脊椎内視鏡手術には
・UBE(片側二孔式内視鏡手術)
・FESS(全脊椎内視鏡手術)
など、MED/MEL以外にも有効な術式が普及しています。
MED/MELも小皮切の低侵襲手術ですが、FESSは約8~10mmの単一皮切、UBEは約5~10mmの皮切を2か所(2ポータル)で行うのが特徴です。一つの皮切は、MED/MELより小さくなるよう設計されています。一方で手術器具の構造や手術手技・操作スタイルに違いがあります。
当センターでは、
・頚椎・胸椎・腰椎に幅広く対応できること
・両手での操作により安全性を高められること
・合併症が起きた場合にも同一視野・同一術式のまま対処可能なこと を重視しています。
各術式にはそれぞれ長所がありますが、当センターでは対応範囲と再現性の観点からMED/MEL を標準的な方法として採用しています。

9.他医療機関などで「内視鏡では難しい」「固定術を勧める」と言われた方へ

・「高齢だから」「範囲が広いから」と言われ、内視鏡手術は難しいと説明された
・固定術、従来法しかないと言われたが、できればもう少しでも体への負担が少ない方法がないか知りたい。
このような場合でも、画像を詳しく見直すことで、内視鏡で対応できる可能性が見えてくることがあります。
もちろん、最終的に内視鏡ではなく固定術が望ましい、という判断になることもあります。
それでも、
・内視鏡でできるとしたらどこまで可能か
・固定術を選ぶメリット・デメリットは何か
以上を、脊椎内視鏡を専門としてきた立場からわかりやすくお伝えし、患者さんとご家族が納得して治療を選べるようにすることを大切にしています。

10.受診・ご相談を希望される方へ

・まずは 柏厚生総合病院(代表)までお電話ください。
・すでに他院に通院中の方は、可能であれば紹介状や画像データ(MRI・CTなど) をお持ちください。
・セカンドオピニオンとしてのご相談もお受けしています。
受診方法の詳細は、病院ホームページの「外来受診のご案内」 をご覧ください。

脊椎内視鏡センター よくある質問(Q&A)

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