柏厚生総合病院 心臓外科について
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柏厚生総合病院心臓外科は、柏市を含む東葛地域や緊急の外科的治療を必要とする場合は茨城南部からも受け入れ、心臓血管疾患の患者さんに対して診療を行っています。
これまで柏市における心臓血管診療の中核施設として多くの患者さんの診療を行なってまいりましたが、診療体制の更なる発展のため、2024年11月1日から新棟1階部分に救命センター直結の手術室と心血管X線撮影装置を組み合わせたいわゆるハイブリッド手術室や循環器疾患の集中治療管理を行う心臓疾患集中治療室(CCU)を6床、新設いたしました。また2025年9月からは集中治療室が1床あたり20㎡の広い6床の集中治療室に変わり新しく本館3階の手術室のすぐ隣にオープンいたしました。
これまでの豊富な専門治療経験を有するドクターのチームと経験豊かなメディカルスタッフとが力を合わせて、より高度でより良い医療を多くの患者さんに安全に提供してまいります。
Medical Care System / 診療体制 ~24時間365日の救急対応体制~
当院は地域の基幹病院として、急性期心臓血管疾患に対応できる医療体制を備えております。24時間365日、専門チームが心臓や大血管の緊急手術を行っており、救急医療に力を注いでおります。柏市内だけでなく、東葛地域さらには茨城県の南部からも緊急手術を必要とする患者さんを受け入れており、昨年度は年間での開心術も125例を越え、地域における役割は大変大きいものであると考えております。また近隣の医療機関で診断された大動脈緊急症などの迅速な治療を必要とする患者さんに対しましても当院から救急車を出動し、いち早く専門スタッフによる対応や治療を開始できるような収容体制を行っております。
~地域医療機関との連携~
地域の基幹病院として、柏厚生総合病院心臓外科は近隣の医療機関との密接な連携にも努めています。救急患者の受け入れに際しては、夜間休日を問わず当科の心臓外科医師が専用ホットライン電話を携帯し、いつでもご連絡いただければ直接迅速に対応できる体制を整えております。緊急搬送はもちろん、診断や治療方針についてのご相談がある場合には、遠慮なく当科へご連絡ください。
<心臓外科ホットライン電話番号>
090-8479-7812
24時間365日
〜2つの集中治療室の(計12床)オープン〜
昨年2025年の11月1日から新棟に心臓疾患の集中治療室6床(CCU)がオープンし、近隣の医療機関で大動脈緊急症や感染性心内膜炎などで外科の専門的な対応が必要と判断された患者さんをいち早く収容し速やかに専門的治療を開始できるようになりました。
また本年の9月1日からは本館手術室に隣接する外科集中治療室6床(ICU)がリニューアルオープンしました。一人の患者さんあたり20平米の広い空間で緊急の外科的治療や大きな手術を受ける患者さんをより多く受け入れることが可能となりました。
当院の集中治療室では内科、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科など全ての診療科における重症患者の方の管理を集中治療の専門医資格を有する2名をはじめ、各科の医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、栄養士など他職種領域の医療スタッフ全員で力を合わせて行っております。毎朝ベッドサイドでカンファレンスを行い、メディカルスタッフが日々、お互いの顔を合わせ、意見や情報を共有交換し、チームとして診ることを大切にしています。
Diseases Treated / 対応疾患
当科の診療内容
当科では心臓や大血管の全般的な疾患の対応をしています。心臓や大血管の疾患には無症状で経過する時期から症状が徐々に出てくるものもあれば、予兆なく突然発症するものがあります。
主だった疾患を分けると、虚血性心疾患、弁膜症と大動脈の病気と3つに分けることができますが、当院ではそれぞれの病気で循環器内科と最新のエビデンスに基づいて協議し個々の患者様に合わせた最善の治療の治療行うことを日々心掛けております。
また大血管や末梢の血管病変に関しては血管外科の先生と日頃から話し合い、力を合わせて動脈や静脈を含む血管系全体の疾患の対応をいつでも迅速にできるようにしております。


手術風景 心臓外科チーム(手術室にて)
~虚血性心疾患~
『虚血』とは『血がない状態』ことを意味します。心臓の筋肉に血液を届ける血管である冠動脈に狭いところや閉塞したところが生じることを虚血性心疾患と言います(図1)。


(図1)
~治療は~
虚血性心疾患の治療法にはカテーテル治療と冠動脈バイパス治療とがあります。
カテーテル治療(PCI)は循環器内科の医師によって行われます。局所麻酔で行えるため、手術に比べると患者さんの負担は少なく早く治療できるという利点があります。完全に閉塞していてカテーテルを通せない箇所に狭窄がみられる場合、カテーテルの挿入によりほかの血管に影響が出ると判断される場合には、冠動脈バイパス術が検討されます。その他にもカテーテル治療が解剖学的に難しい場合や、これらの治療では血流の改善が期待できないとされる場合には冠動脈バイパス治療(図2)が選択されます。心筋梗塞を起こされた患者さんの場合、循環器内科の先生達に先に責任病変を治療していただき、残った病変は長期的予後を考慮し外科的に治療するハイブリッド治療も積極的に行っています。

冠動脈バイパス手術後の心臓CT(図2)
~弁膜症~
血液の逆流を防ぐ弁
心臓には右心房、右心室、左心房、左心室という4つの部屋があり、各部屋がそれぞれある一定のリズムに合わせて拡張・収縮を繰り返しています。このポンプ運動によって、血液は全身を循環しています。
こうした血液の循環が逆流しないよう防いでいるのが、各部屋の出入口についている「弁」です。全部で4つあり、それぞれ僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁と呼ばれています(図3)。

(図3)
通常、弁は血液の流れに合わせて開閉していますが、この弁に何らかの問題が生じて開閉が悪くなることがあり、この結果、血液が逆流したり、血液の流れが妨げられたりします。これが「心臓弁膜症」です。特に左心室という体への循環を担っているお部屋の二つの弁である僧帽弁と大動脈弁で起こりやすいとされています。
心臓弁膜症には2つのタイプがある
心臓弁膜症はその状態から、「狭窄症」と「閉鎖不全症」と2つのタイプに分類されます。
~治療は~
心臓弁膜症の治療には、
(1)弁をとりかえる手術「弁置換術」


図4 主な生体弁 2種(ブタ弁(左)、牛心膜弁(右))
(2)ご自分の弁を修復する「弁形成術」
の2つがあります。
大動脈弁に関しては、主に生体弁(図4)という新しい扉に置き換える弁置換術が安定した効果を長く保つことができます。開胸での手術も安定した良好な成績でおこなっています。美容的観点から当院でも小開胸での手術(MICS)も取り入れております(写真1)。また今年からはカテーテルで行う大動脈弁の移植術(TAVI)や僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁接合不全修復術(TEER)も行えるようになりましたので、ハートチーム(写真2)という心臓外科医や循環器内科医と多職種で構成されているチームの中で話し合い患者さんの年齢や背景に合わせた選択肢ができるようになりました。
個々の患者さんの状態に合わせて、治療の方法を選び、治療を決心していただいた患者さんが長い間、治療の有益性が得られるように考えるようにしています。

(写真1)
(写真2)
~大血管の病変~
大動脈の病気は大動脈瘤のように数年かけて発生し症状なく危険な大きさまで徐々に拡大するものと大動脈解離 (図5)のように突然発症するものとがあります。

図5 解離の様子 血管の壁の破綻
大動脈の疾患においても治療はその場所によってカテーテルでの治療が可能であったり、開胸や開腹しての治療が向いていたり、或いは二つを組み合わせた治療ができたりと多岐に渡ります。
~大動脈瘤の治療~
従来は人工血管置換術のみが行われていました。部位によって人工血管に置換する範囲は異なり、心臓に近い胸部の大動脈の瘤の場合は人工心肺を使用しての手術となります。(図6)
心臓や脳へ向かう血管から離れた部位の瘤の場合は、今ではカテーテルによる血管内治療(図7)や血管内治療と人工血管置換を組み合わせたような治療(ハイブリッド治療)が選択肢としてあります。
図6 胸部(弓部)の人工血管置換
胸部(下行大動脈)のステントグラフト治療(図7)
〜大動脈解離の治療~
治療法は起きた場所によって異なる。
・スタンフォードA型
脳へ行く血管の手前の心臓側に近い大動脈にも解離が起きている場合です。(図8)
⇨ 急死する合併症の発生率が高いため緊急手術が救命のためには必要となります。
・スタンフォードB型
脳へ行く血管の手前の心臓側に近い大動脈には解離が起きておらず、その先の大動脈に解離が起きている場合です。
⇨破裂の危険性が高くなく、血流不全が起きていない場合は血圧を下げて安静を保つことが治療となります。
~治療~
痛みを和らげ、破裂や大動脈の拡大を防ぐために十分な薬物療法を行うところから始まります。裂け目が心臓に近い大動脈に及んでいるA型の解離(図9)の場合は緊急手術が必要となります。超低体温や脳分離といった特殊な方法を併せて行う人工心肺を使用した人工血管置換術が行われます。病状によって人工血管に置換する範囲は異なります。
B型解離の場合のように手術をせず一旦急性期を乗り越えても、一旦薄くなった血管の壁は血圧による影響を受けてゆっくり広がることはあります。瘤として拡大した場合は破裂予防に治療が必要となることもあります。カテーテルによる血管内治療や外科的な人工血管置換が選択肢としてあります。
図8 『解離』によって起きうるさまざまな症状や病態

造影CT検査で確認された上行大動脈から下行大動脈の解離 図9
(スタンフォードA型)
〜その他〜
その他、不整脈や、心原性の脳梗塞の治療として左胸腔鏡下(補助下)の左心耳閉鎖や肺静脈隔離術も行っています。
Achievements / 実績
~当科における手術件数の推移~
小生は2023年7月から赴任し、看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士を交えたカンファレンスで情報共有、話し合いを行い、チーム一丸となってより多くの患者様に質の高い医療を提供できるような新しい体制作りをしてまいりました。新しい体制となり、治療を提供できた患者様の数も順調に増えてまいりました(表1,2)。2025年の秋にはさらに新しく頼もしい心臓外科専門医の先生も加わりました。さらに多くの患者様に今後も地域の病院との連携と強めつつ、千葉北部、茨城南部の患者様への迅速な対応に努めていく所存です。
(2025年10月現在)
(表1、2)

~24時間365日の救急対応体制~
私達は地域の心疾患の患者様に24時間365日体制で対応する準備を整えています。夜間でも大動脈や末梢血管、心臓の急性疾患の患者様が搬送された際には、専門スタッフがただちに緊急での治療を行っています。柏市内および周辺の東葛地域における急性期大血管・循環器疾患の件数は非常に多く、その中で当科の果たす役割は極めて大きいものと考えています。
~地域医療機関との連携~
地域の基幹病院として、柏厚生総合病院心臓外科は近隣の医療機関との密接な連携にも努めています。救急患者の受け入れに際しては、夜間休日を問わず当科の心臓外科医師が専用ホットライン電話を携帯し、いつでもご連絡いただければ直接迅速に対応できる体制を整えました。緊急搬送はもちろん、診断や治療方針についてのご相談がある場合には、遠慮なく当科へご連絡ください。
<心臓外科ホットライン電話番号>
090-8479-7812
24時間365日受付
〜集中治療室のリニューアルオープン〜
昨年2024年は年間101例の人工心肺症例に加えて心拍動下の冠動脈バイパス手術25例を加えた計126例の開心術とその他大動脈のステントグラフト治療を入れると年間約150件におよぶ心臓大血管の外科的治療を実施しており、こうした実績は柏市内ではトップ、東葛地域でも有数の規模です。
受け入れられる患者さんをますます増やすことができるように本年の9月1日からは本館手術室に隣接する集中治療室6床(ICU)がリニューアルオープンしました。一人の患者さんあたり20平米の広い空間となり緊急の外科的治療や大きな手術を受ける患者さんをより多く受け入れ、安全かつ周りと適正な距離を保ちながら快適に集中治療管理をすることが可能となりました。
〜当院のICUの特長〜
当院の集中治療室は各科主治医主導のいわゆるオープンICUの体制をとっています。集中治療専門医資格を有するものが現場を多くの時間守る中、内科、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科など全ての診療科における重症患者の方の管理を各科の主治医師主導で、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、栄養士など他職種領域の医療スタッフも交えて全員で力を合わせて行っております(写真3,4)。毎朝ベッドサイドでカンファレンスを行い、メディカルスタッフが日々、お互いの顔を合わせ、意見や情報を共有交換し、チームとして診ることを大切にしています。


写真3,4 集中治療室の様子、本館 集中治療室スタッフ
〜柏厚生総合病院の心臓外科医〜
柏厚生総合病院心臓外科のスタッフには、全国トップクラスの施設での経験を得た心臓外科修練指導医2名と心臓外科専門医1名がおり提供する医療はトップクラスの水準にあります。海外での留学経験や実績もあり幅広い視野を持ち合わせ新しい治療や新しい知見を昇華し常により良い治療を提供したいと考えております。また当科は日本心臓血管外科学会の研修施設認定を受けており、第三者機関からの客観的な評価も当科の医療水準の高さを示す指標となっています。こうした豊富な症例経験と高度な専門性は、患者さんや地域の先生方から寄せられる厚い信頼にも直結しており、私たちはその信頼に今後も応え続けていきたいと考えております。
~最後に~
近年では治療の安全性の向上に加えて、治療の方法も多様化が進みました。
左小開胸冠動脈バイパス手術(MICS-CABG)や、MICS-CABGと経皮的冠動脈ステント治療(PCI)の組み合わせにより短期入院期間を可能とする冠動脈のhybrid治療も積極的に行なっております。弁膜症においても胸骨を完全に切らない方法や肋骨の間からの手術も取り入れ早期社会復帰を可能にしております。
大動脈瘤や一部の大動脈解離においてもステントグラフト(血管内治療)で、ご高齢の患者さんでも早期退院が可能となりました。
これら多様化した最新の治療がすべての患者さんにとって利益があるわけではありません。経験の積み重なりのある従来の方法が安全で一番良い方法であることもあります。
最新の知見や報告、経験にもとづき、患者さん一人一人に最も利益のある手術治療をお勧めさせていただきます。
一人の患者さんの手術は心臓外科医だけでなく、麻酔科医、看護師3、4名、臨床工学士2、3名と多くのスタッフが協力し合って関わりチームが一丸となって行われます。
術後も集中治療室や病棟の看護師だけでなく心臓に特化した理学療法士のリハビリチームが早期回復をサポートします。今年度からは診療看護師(NP:Nurse Practitioner)も病院に加わり、今後も増えていく予定です。メディカルスタッフが日々、お互いの顔を合わせ、意見や情報を共有交換し、チームとして診ることを大切にしています。
私たち柏厚生総合病院心臓外科は、循環器内科と協力して地域の皆様や医療機関の先生方から寄せられる信頼を胸に、これからも研鑽と努力を続けてまいります。心疾患で救える命を一人でも多く救うためには、内科外科の枠組みに捉われず、地域の医療者同士が強く連携し合うことが何より重要だと考えております。当院は今後も「地域の心臓を守る最後の砦」としての責務を果たしつつ、地域の先生方との協力のもとで地域全体の医療水準向上に寄与していきたい所存です。
もし心臓の治療が必要な患者さんがいましたら、あるいは心臓の治療が必要と言われましたら、安心して柏厚生のハートチームにお任せください。
心臓外科チーム(一部)の写真5

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