骨転移(転移性骨病変)に対する凍結治療

骨は癌が転移をしやすい場所の一つです。全身の骨に転移をしますが、脊椎、大腿骨、腸骨、肋骨などが転移をしやすい骨です。(図1)

これらの骨転移はしばしば疼痛を生じ、患者様の日常生活の質(QOL)を低下させる上に、骨折をすると脊椎の場合には下半身マヒ、大腿骨の場合には歩行不能となります。標準治療は放射線治療であり、除痛が得られることも多いですが、連日の放射線照射には数週間という時間がかかり、また放射線に感受性のない腫瘍の場合には除痛効果はあまり得られません。さらに照射部位の周囲の臓器へ照射による副作用もあり、照射部位が肋骨転移の場合には肺の線維化、脊椎転移の場合には急性期の食道炎や晩期の脊髄マヒなどが生じ得ます。それに対して近年、骨腫瘍に対する凍結融解壊死療法がいくつかの施設で行われるようになり、当院でも行っております。当院では事前に整形外科、脊椎外科、放射線科、呼吸器外科の間で症例検討を行い共同で行っております。
麻酔は基本的に局所麻酔で行い、CT室あるいは手術室で凍結針を骨転移病巣に穿刺し、腫瘍を凍結融解し壊死させる治療法で約1時間かかります。椎体や大腿骨などの体重がかかる骨の場合には骨折予防目的で、凍結終了後に骨ハイドロキシアパタイトを注入します。CTガイド下あるいはレントゲン透視下で凍結領域を確認しながら凍結を行うので周囲臓器の損傷は生じず、除痛効果は70-100%と報告されており、放射線治療と同等あるいはそれ以上です。また転移性骨軟部腫瘍に対する凍結治療後の生存期間は1年:91%、2年:84%、と良好な成績も報告されています。
当院で行っている骨転移の凍結治療の1例をお見せします。写真は疼痛を伴うがんの肋骨転移です(図2)。
それに対して局所麻酔を行い、CT室で凍結治療を行いました(図3、図4)。患者様は治療後2日目に退院し疼痛は消失しました。

このように転移性骨腫瘍に対する凍結治療は1回の治療で済む低侵襲で有効な治療法です。この治療は癌の根治治療ではなく、多くの場合は除痛を目的としているものですが、転移性骨腫瘍の凍結治療に免疫療法薬(免疫チェックポイント阻害剤)を併用すると、凍結免疫効果をさらに増長し他の転移を抑える可能性(アブスコパル効果)があります。但し免疫チェックポイント阻害剤は癌によって保険適応が決まっており、原則、保険適応のある癌のみに使用できます。

凍結治療にかかる費用

凍結治療は保険適応ではないので、自費診療となります。
費用は入院費及び消費税込みで55万円です。
但し、腫瘍が大きい、あるいは腫瘍が2箇所ある場合には、針を2本使用します。針1本が15万円しますので、その際には70万円となります。

治療をご希望される方、あるいは治療のご質問をされたい方は、当院呼吸器外科の野守裕明の外来(月曜日と木曜日)を受診してください。

文責:呼吸器外科 野守 裕明

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