カテーテル治療の詳細

手術および放射線治療が不可能な肺癌に対する “カテーテル治療(腫瘍血管塞栓術)”、いわゆる “兵糧攻め”治療

肺の根元や胸の中央にある大きな肺癌あるいは縦隔腫瘍は、時に抗がん剤も効果がなく、手術、放射線治療、凍結治療等も不可能な場合があります。一方、それら身体の中心部に近い腫瘍は大きな血管から腫瘍を栄養するための血管(腫瘍血管)が発達し、多量の血液を供給されて成長しています。そのため腫瘍血管を閉鎖させれば血流は途絶え、腫瘍が縮小、あるいは成長が止まることがあります。腫瘍の血管を閉鎖させることは現在の血管カテーテルの手技を用いることにより多くの場合可能です。太ももの付け根に局所麻酔をした後、太ももの血管からカテーテル(細い管)を挿入して、腫瘍の血管に持って行き、そこから血管を閉塞(塞栓)させる物質を注入します。すると腫瘍への血流が減少あるいは途絶え、腫瘍に対して“兵糧攻め”をすることができます。2017年7月まで74例の肺門あるいは縦隔の腫瘍に対してこの“カテーテル治療”を行ってきました。腫瘍サイズが半分以下になった症例は30例(41%)でした。腫瘍の血管増生が多く認められる症例に対しては保険診療で行えます。また局所麻酔で行うので、低侵襲な治療です。以下に肉腫の両側肺転移で、その内の左肺の根元の腫瘍が増大して、左肺が潰れた患者様に対して、気管支動脈の塞栓術を行い、その腫瘍が消失し、無気肺が治った症例をお見せします。
この塞栓治療は保険診療でできます。

カテーテル治療に“抗がん剤と血管塞栓術を併用した治療”

腫瘍動脈に塞栓物質(血管をつめる物質)に加えて抗がん剤を同時に注入すると、同時に注入された抗がん剤が腫瘍血管内に長期に留まるため、長期間に渡り抗がん剤が徐々に放出される効果(徐放効果)があり、その後徐々に他の転移巣も縮小することがあります。

文責:呼吸器外科 野守 裕明

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