人工膝関節

膝関節に痛みがある患者様へ

関節の痛みは、日常生活動作や歩行、スポーツ活動を困難にし、生活の質を低下させます。
日常診療の中で多い変形性膝関節症や関節リウマチの患者様に対し、保存療法で改善が乏しい場合、手術にて人工関節置換術を行っています。

変形性関節症について

老化や肥満、外傷などのさまざまな原因により、膝の関節軟骨がすり減ってくることで関節内に炎症を生じる疾患です。
進行すると膝関節が変形(O脚、X脚)するだけでなく、起立動作や階段昇降、歩行といった日常生活動作にも支障をきたすようになります。
まずは保存療法として消炎鎮痛剤を内服したりヒアルロン酸の注射をしたり、膝関節周囲のストレッチや筋力トレーニングの指導にて通院加療を行います。保存療法で改善が乏しければ手術療法を検討します。

 

この病気を放置した場合

適切な診断や治療を受けずに放置した場合、さらに変形が進行します。
そうなると…
・下肢の筋力低下や歩容、姿勢の悪化(腰や股関節、足関節まで痛みが出てくることがあります)
・運動機能低下に伴う心臓や肺機能の低下
・痛み止め(消炎鎮痛剤)の長期内服に伴う肝・腎機能の悪化、胃腸障害
・生活習慣病などの悪化

などの悪循環に陥り、さらに痛みが増強します。
人生の楽しみであったダンスやゴルフ、旅行、ウォーキングなどを楽しむ余裕は徐々になくなってしまします。

 

手術の目的と効果

目的は痛みを取り除き関節機能を再建することです。
正常な機能を失った関節を手術したとしても完全に元通りになるわけではありません。
しかし、術後のリハビリや元々の身体能力によっては関節痛が出現する前の生活に近いものを実現させることも期待できます。

◆保存療法
・消炎鎮痛剤や外用薬(湿布)
・運動療法(理学療法士によるリハビリテーション)
・関節内注射(ヒアルロン酸、ステロイド薬など)
これらの保存療法は科学的に有効性が証明された優れた治療です。
しかし、保存療法で改善が乏しい場合は手術を検討します。

◆手術療法
〇関節温存手術
本来の膝関節をできる限り温存する手術として、関節鏡による手術や高位脛骨骨切り術(HTO)があります。
最近では自身の正常軟骨を採取し、それを培養後に完成した自家軟骨を移植する“自家培養軟骨移植術”という最先端の最新医療もあります。
⇒自家培養軟骨移植術に関してはこちら

〇人工膝関節置換術
軟骨がすり減り、変形してしまった関節を、大腿骨側、脛骨側それぞれ金属でできた人工関節に置き換える手術です。
・人工関節単顆置換術(UKA:Unicompartmental Knee Arthroplasty)
・人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)

このうち最も多く施行されている手術は、人工膝関節全置換術(TKA)です。

人工関節の耐久年数は、患者様の活動性や体重など多くの要素に影響されますが、一般的には15~20年と言われています。
しかし、近年医療材料工学や材料加工技術の発達やインプラントデザインの進歩、手術主義の改善などにより、人工関節はより一層進歩し、耐用性も格段に進歩してきています。

大腿骨コンポーネント:大腿骨の関節面の役割(金属)
サーフェイス:脛骨の関節面の役割(ポリエチレン)
脛骨ベースプレート:サーフェイスを支える土台(金属)
膝蓋骨コンポーネント:膝蓋骨の関節面の役割(ポリエチレン)

実際の手術前後のレントゲン画像

(手術前)

(手術後)

当院での人工関節全置換術(TKA)の特徴

術前のレントゲンやCT,3DCT画像から術前計画を立てた上で、TKA専用手術機器に加え、ポータブルナビゲーションシステムを併用しています。
これにより大腿骨側、脛骨側ともに1mm単位、1度単位での精密な骨切りが可能となり、これまで以上に正確なインプラントの設置と良好な下肢アライメント、人体バランスの獲得を実現しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

術後のリハビリテーション

通常は術後早期(翌日~2日目)から離床・荷重歩行を許可しております。
術前の状態や症状の程度は患者様によってそれぞれ違います。
当院では術前の患者様の状態を主治医が中心となり、リハビリ担当者、看護師など医療スタッフがお互いに情報を共有しております。
そのため、患者様一人ひとりに合ったリハビリ加療を行い、術後安心して退院が可能な状態になるまでリハビリ加療を行える環境となっております。
また、地域連携室などのスタッフも加えたチーム医療で退院後も通院や訪問でのリハビリ加療を継続しております。
通常はおよそ2週間前後での退院となります。

宮内志昂

 診療科一覧へ戻る

診療科の紹介