骨粗鬆症リエゾンサービス -当院の取り組み-

当院における取り組み

○骨粗鬆症リエゾンサービスについて

骨粗鬆症の治療率向上と転倒予防を目的とした多職種連携システム「骨粗鬆症リエゾンサービス(Osteoporosis Liaison Service: OLS)」は、英国において初めて実施され、骨折の抑制に成功したことから欧米各国へ普及しています。柏地区で地域医療の中核を担う当院においても、骨粗鬆症患者に対してより質の高い医療を提供するため、平成28年4月から骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)委員会を立ち上げ、多職種連携(医師以外の医療従事者を含めた)による取り組みを正式に開始しました。

−背景−
高齢化が進むわが国では、健康寿命を延伸し要支援・要介護状態の原因となる「骨折・転倒」を減少させることが期待されています。しかし、加齢に伴う骨粗鬆症の進行や運動機能の低下を背景として、大腿骨近位部骨折や椎体骨折といった脆弱性骨折はむしろ増加する傾向にあります。国内の骨粗鬆症患者に対する薬物治療率は約20%と低く、このことが脆弱性骨折を増加させるひとつの要因と考えられています。

 

骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)委員会について

この委員会の目的は、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインに基づき、骨粗鬆症の薬物治療と治療継続率を向上させるとともに、運動療法や服薬、栄養指導を含めた患者教育・指導を行い、多職種連携によって骨折予防を推進すること」です。

委員会構成メンバーは医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、地域連携課担当者、医療クラークの計17名、このうち骨粗鬆症マネージャー資格※1を取得した専門スタッフ(看護師2名、理学療法士4名)計6名が在籍しています。現在のところ、OLSが介入する対象者は骨折リスクが高い、整形外科に入院中の骨折患者としていますが、今後はすべての病棟における運用を目指します。

※1:骨粗鬆症マネージャーとは
日本骨粗鬆症学会認定の専門資格。骨粗鬆症の啓発・予防・診断・治療のための多職種連携システムであるリエゾンサービスの普及を担う役割として位置づけられています。

 

【活動内容】
1) 毎月1回の委員会開催
2) 入院時、電子カルテの「骨粗鬆症スクリーニングシート※2」を用いて対象患者を評価し、必要に応じて担当医へ薬物治療の開始を提言
3) 患者本人、家族への栄養、服薬、運動療法に関する指導※3
4) 副甲状腺ホルモン製剤(テリパラチド)の申請制度を運用※4
5) メディカルスタッフ、ならびに地域住民への骨粗鬆症講演会の開催
6) 地域医療機関との連携、ならびに講演会の開催

※2:薬物治療開始基準(ガイドライン準拠)を含む。※3:患者用パンフレット「骨粗鬆症と向き合うあなたへ」を参照。※4:適正使用と安全性確保のために作成した当院独自の医師向け申請制度。

 

メンバー紹介

○ OLS委員会委員長 整形外科 主任部長 國府幸洋 (日本骨粗鬆症学会認定医)
かつてない超高齢社会を迎えたわが国では、要支援・要介護状態の原因となる「骨折・転倒」を減少させることが期待されています。骨粗鬆症に伴う骨折は増加の一途をたどっており、私たち医療人が果たすべき役割はますます大きくなっています。
スタッフの職種や医療機関ごとの枠組みを越えた、前衛的な多職種連携によって骨折予防を推進し、皆さまの健康寿命を延伸できるように、スタッフ一同努力して参ります。

○ 看護部 看護師長 小尾礼 (日本骨粗鬆症学会認定 骨粗鬆症マネージャー)
私たち看護師は患者様の病状を把握した上で、既往歴や内服薬、検査結果といった骨折リスクに関する情報を収集し、それを多職種と共有する役割を担っています。骨折する危険性が高い方、骨粗鬆症に対する治療が開始された患者さまには、パンフレットを用いた指導も行っています。不安や疑問な点があれば、担当看護師にお声掛けください。

○ 薬剤部 薬剤師 米井万紀子
近年、従来とは異なる作用機序を持つ新薬が開発されたことで、骨粗鬆症に対する薬物治療の選択肢が増えました。私たち薬剤師は、医師から処方された薬の効果や用法用量、注意すべき点について分かりやすく説明します。薬による治療が安心して継続できるように、患者さまのライフスタイルや骨粗鬆症以外の生活習慣病なども考慮した、薬剤指導をお手伝いします。

○ リハビリーション科 理学療法士 高橋平 (日本骨粗鬆症学会認定 骨粗鬆症マネージャー)
当科では、骨粗鬆症学会の認定資格である骨粗鬆症マネージャー(4名在籍)を中心とした活動を通して、転倒をしない身体と骨折しにくい骨づくりを目指しています。
骨粗鬆症は普段からの運動習慣が大きく関わっています。近隣住民の方々に向けた、骨粗鬆症とその予防法に関する研修会を開催しています。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

○ 栄養科 管理栄養士 鈴木彩夏
骨粗鬆症の食事療法について栄養指導を行っています。骨量減少を防ぐには、①1日3食、主食(炭水化物=ご飯・パン・麺)、主菜(たんぱく質=肉・魚・卵・大豆)、副菜(ビタミンやミネラル=野菜・きのこ・海藻)を揃えたバランスの良い食事、②骨の主成分(カルシウム=乳・乳製品)の摂取、③カルシウムを効率よく体内に取り込む成分(ビタミンD=魚・きのこ、ビタミンK=緑黄色野菜)の摂取が重要です。患者さま自身が効果的な栄養管理が実践できるように、個人個人に合わせた具体的な食品や目安量を用いた指導を心がけています。

○ 地域連携課 係長 牛島功貴
私たちは当院と近隣の医療機関との橋渡しとなるべく、専門とする診療領域の垣根を越えた「顔の見える」病診連携の取り組みを展開しています。入院中に骨粗鬆症に対する薬物治療が開始された退院患者さまにおかれましては、当院の診療科外来に限らず、地域のかかりつけクリニックでの継続治療を推奨しています。
今後、医療機関ごとの地理的な問題や職種間の境界を越えた、よりシームレスな地域連携医療の実現を目指します。

 

地域・社会との連携

○ 骨粗鬆症ネットワーク
骨粗鬆症リエゾンサービスは3つの部門で展開されています。

・ 骨粗鬆症に関する啓蒙、検診活動が中心業務となる地域・社会部門
・ 診療所を中心として主に外来・居宅患者を扱う診療部門
・ 病院を中心として入院患者を扱う病院部門

これら部門ごとの連携を一層強化することで、治療率と治療継続率の向上や更なる骨折予防効果が期待できます。

骨粗鬆症ネットワーク (2015年骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインより)

 

○ 当院の医療連携について

【検診センターとの連携】
当院に併設される検診センターにて骨粗鬆症検診を受診された方で、要医療域の判断をされた方に、当院整形外科の受診をお勧めしています。

【地域医療機関との連携】
患者さまに安心して骨粗鬆症治療を継続していただけるように、当院OLS委員会の活動にご賛同いただけた医療機関と連携をとっています。
この医療連携では、患者さまの継続治療をかかりつけ医にて行い、半年〜1年に1回(必要に応じて)、当院においてフォローアップと精密検査(骨密度、レントゲン、骨代謝マーカー等の採血)に来院して頂くシステムです。

地域医療連携について解説したパンフレット

 

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