血管外科 下肢静脈瘤について
よく、足の「血管が浮き出ている」とか「血管のこぶが出ている」とかで「どこの病院や何科に行ったらいいのかわからない」ということを患者さんからよく耳にします。ほとんどは下肢静脈瘤のことが多いです。下肢静脈瘤は、30歳以上の女性に多く見られ、特に、立ち仕事(美容師、調理師、教員等)や妊娠を契機に次第に目立ってくることが多いといわれています。また、家族歴とも関連しているともいわれます。特に、症状が最初はないことが多く、年齢が進むにつれ、次第に目立ってくると、足がむくんだり、だるくなったり、足がつったり、痛みがでたり、しびれたり、皮膚のしみや潰瘍などができたりします。特にスカートがはきづらい、素足を見せたくないといった、美容的な女性特有の悩みが問題となります。この静脈瘤は生命にかかわるような癌や心臓病などと違い、あまりよく知られていないこともあり、ほとんどの患者さんが自分で気がついてから、数年から十数年たって初めて来院される場合も少なくありません。もし気になれば、当科へ一度、ご相談されることをおすすめいたします。

足健康より[ゼリア新薬工業(株) 折井正博 先生監修(東海大学医学部心臓血管外科講師)]
検査
1.ドプラー血流計:静脈の逆流を、皮膚の上から音で調べる簡単な検査
2.血管エコー:静脈本幹の逆流や細かな逆流の枝をカラーで見る超音波検査
3.下肢静脈撮影:直接、足の血管に針を刺して造影剤を注入して調べる検査
治療
1.弾性ストッキングの着用(症状軽度の場合)。
2.局所硬化療法;局所の静脈瘤に直接硬化剤を注入してつぶす治療法。
3.ストリッピング:逆流のある静脈本幹にワイヤーを通し、静脈をワイヤーごと抜去する最も標準的治療法。
4.レーザー治療:逆流のある静脈の血管内をレーザーで焼灼し血管を閉塞させる治療法。1996年頃より欧米で始まり、体に負担のない美容的にすぐれた治療として普及していています。しかし、日本では下肢静脈瘤の専門医師が少ないため、保険診療で認められていません。数少ない専門病院で高額な自費治療を行っているのが現状です。
その他の足の病気について
- A.下肢蜂窩織炎
- 下肢全体に急性に広がる細菌感染で、外傷、皮膚炎に合併することが多く、赤く腫れて、痛みを伴います。糖尿病や白癬(水虫)の患者に多いです。(なお、皮膚の浅い場所での細菌感染は丹毒といいます)しかし、明らかな傷や皮膚炎がないこともあります。まず、腫れた下肢を安静に保つことと冷却が一番重要になります。治療には抗生剤の点滴を行います。さらに、足に軟膏を塗り、弾性包帯を巻いて足のむくみを予防します。特に足の腫れと熱感や高熱が4日以上も続く場合などは、敗血症といった重篤な可能性もあるので、早めの診察が必要となります。
- B.下肢深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
- 骨盤から下肢にかけての静脈において血液が固まり発症する下肢のむくみを言います。寝たきりの老人や整形外科や婦人科手術後、ピルなどの特殊薬剤、癌患者などで血液が固まりやすい場合は発症の危険があり、要注意です。重症例では肺血栓症を合併し、生命に関わります。治療は、血液を固まりにくくする薬物治療と弾性包帯や弾性ストッキングで下肢のむくみを治療します。重症例では、体の中心部の静脈にフィルターという血栓をとらえる筒を入れたりもします。
- C.リンパ浮腫
- 先天的発症から、低栄養、細菌感染、子宮癌や乳癌術後のリンパ傷害から起こる、下肢や上肢のむくみを言います。足の清潔が大切で、保湿剤を塗ったり、弾性包帯を着用したり、自ら正しいマッサージすることでむくみを軽減させます。なお、マッサージ器を利用することもあります。専門的ですが、まれに手術療法もあります。
- D.下肢閉塞性動脈硬化症
- 足に行く動脈が狭くなったり詰まることで生じる血行不良で、足の指先が紫色に変色したり、足先の冷感や、歩行時のふくらはぎの痛み(間歇性跛行)、潰瘍、安静時の痛みなどの症状を引き起こします。加齢とともに進行し、特に糖尿病や高脂血症や喫煙などが増悪因子となります。他、脳梗塞や心筋梗塞などを合併することも多いです。軽度ならば、薬物治療やリハビリで改善できますが、進行すると動脈を広げたりする処置(ステント)や血行再建術(バイパス)が必要となります。
以上簡単ですが、足のことでお聞きしたいことがあれば、何なりとご相談ください。
外科:中村

